
おわりに
吹奏楽というジャンルがなぜ、「芸術・文化」の中に入っていないのか。その理由の1つは、オーケストラは発祥が劇場であり、オペラやミュージカルの伴奏をしていたのに対し、吹奏楽は発祥が軍楽隊で、野外演奏やパレード、式典などで活躍することが多かったことが挙げられる。日本の吹奏楽も、同じく軍楽隊から指導を受けたことから始まっており、自衛隊や警察が吹奏楽団を持っていたため、文化ホールでの演奏ではなく、野外での演奏が多かった。文化ホールで演奏を聴くという意識よりも、祭典に華を添えるものや、競技の応援の1つとして聴くという意識のほうが強いのではないかと考えられる。もう1つの理由としては、日本はコンクールがとても盛んだということが挙げられる。活動の照準をコンクールに当てている学校も少なくない。結果が全てだという思いがあり、聴衆のことよりも自分たちだけが満足する演奏になっているのではないのか。そうではなく、純粋に音楽を楽しみ、聴衆に感動を与えたいという演奏会をもっと増やすべきではないかと思う。文化ホール側だけでなく、吹奏楽団体からのアプローチも大切なのではないだろうか。
第2章では、OSBの方にお話を伺った。OSBは音楽を第一に考えており、常に高いレベルを目指して活動している。大学選択や就職の際に、OSBが続けられるようにと考えるほど、魅力的なバンドである。転職先でも一般バンドを探して活動を続けるなど、人生において吹奏楽が大きな存在になっていることが分かる。
第3章では、ママさんブラスの取材を行った。OSBとは違い、下手でもいい・とにかく楽器が吹きたいと思っている人の集まりである。純粋に音楽を楽しんでいる雰囲気が心地よかった。いくらブランクがあるとはいえ、学生時代に頑張って取り組んだ基礎練習や合奏の楽しみはそんなに簡単には体から離れない。運指も指が勝手に覚えている。そんな状況を楽しみながら、練習に取り組む顔は、活き活きとしていた。
OSBと「ぷらす!」は、確かに活動方針は違うかもしれない。しかし、両者に共通していることがある。それは、人生において吹奏楽は不可欠だということである。仲間と音楽をすることで、自然とコミュニケーションがうまれ、人間関係の輪が広がっていく。また、活動していることで生活にメリハリができ、忙しくても、それはいつしか喜びへと変わり、充実感でいっぱいになるだろう。
社会人になると、楽器から離れてしまう人が非常に多い。仕事と両立させるという感覚でいると、厳しいかもしれない。両立させるという意識を捨て、人生を輝かせるための時間と考えてみてはどうだろうか。そう考えれば、楽器を吹くことを楽しめるのではないかと思う。
しかし、社会人になってからも楽器を続けられるかどうかは本人の意思だけでは無理である。練習場所や楽器の確保など、問題点が多い。例えば、やわらぎ会館のようなサポート体制をとることによって、問題解決につながる。バンドが育てば、演奏会を行ったり、地域の行事で活躍したり、何よりもそこに住むメンバーたちが元気に輝くことによって、地域活性化につながっていくはずだ。
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