
意識調査にもあったように、日本にママさんブラスはもっと必要であると考えている人が多かった。日本には、もっと多くの母親たちが楽器を続けたいと思っている。しかし全てを自分たちで運営していくのには限界がある。その現状を打破するためには、ホールの支援が必要である。練習場所と楽器保管場所があるだけでいいのだ。福島氏は語る。「文化にかけられる予算は削られていく一方である。その中で、プロの公演だけをやるのには無理がある。そうではなく、自主公演を増やし、ホールをもっと身近に感じてもらえるような、地域の人と一緒に創っていくようなプログラムを取り入れることが大事である。それが、結局はホールにとっても、地域の方々にとってもいいことなのだ。」
「ぷらす!」は、11月12日にデビューコンサートを王寺町地域交流センターで開催した。「ぷらす!」のメンバーは、このコンサートを1つの目標として練習してきた。行ってみると、用意した100個のイスはすべて埋まり、立ち見も合わせると300人は見に来ていた。驚いたが、こんなにもたくさんの人に注目されているのだ、ということが分かり、素直に嬉しかった。本番は、緊張されているようにもみえたが、何より楽しそうな表情が印象的であった。楽器を続けたくても、続けられなかった人たちが、こういう形でまた吹奏楽に携わることができたのだと思うと、胸にぐっとくるものがあり、涙をこらえるので必死だった。多くの取材も受けており、このデビューコンサートは「ぷらす!」にとって発展の第一歩となったと思う。
最後に、これから「ぷらす!」が目指すものについて、代表の村上氏に伺った。
「『ぷらす!』は、日本で初めて行政が支援するママさんブラスである。その背景に、少子・高齢化という未曾有の時代に突入する日本という国で、どうすれば皆、健康で明るく、子育てや年を重ねていけるのかと各自治体が模索している。また、核家族が崩れ去ってきている現在地域で、福祉を考えていかなくてはならない世の中になりつつある。そのためには、他人同士であっても何か1つの目的で皆が集まって、エネルギーや安らぎとなるものが必要だと思っていた。まさに「ぷらす!」は、こういった状況を包括し、問題をクリアしていける団体だと思った。子育て中の人も、子育てを終えて自分のために何かを始める人も皆一緒になって活動する。コンクールに出るわけでもない、フェスティバルにも出るわけでもない。吹奏楽という日本特有の音楽カルチャーから考えると荒唐無稽な話かもしれないが、コミュニティと銘打った理由は音楽を通してメンバー一人一人が喜びを分かち合う。また地域の方々のために音楽で応援できる活動をしていく。そんな役割を「ぷらす!」は担っていきたいと考えている。」
ママさんブラスは、ただ楽器を続けて楽しむだけではなく、子育て支援や生涯教育の役割も果たしていて、地域の方々と一緒に文化を創っていくという思いがこめられている。吹奏楽の中でも、芸術文化の中でも、新しい文化と呼ぶにふさわしいと思う。このような活動が全国で盛んになることを願っている。
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